台北6:04発復興號に乗るため、ホテルを5時半過ぎに出発。駅の1階にあるコンビニでビールと茶卵、おにぎりを購入。朝っぱらからいい気分で列車の旅を楽しむ私たちだった。
朝日を浴びて白く輝く鶯歌の古い建物や、桃園のホームで不貞腐れている中学生、駅の敷地内で犬の散歩をさせている寝巻き姿のおばさん、まだ目覚めきっていない静かな街並み、きらきら輝く川面を渡っていくのどかな風景などを眺めているといつの間にか眠ってしまった。ふと気づくとどこかの駅に停車している。窓の外にはなぜかベンチと踏み切りがあり、おっきなひまわりの造花も飾りつけてある。楽しさの余り、思わず写真を撮ってしまった。
早朝の列車旅行は、のんびりしていて
気持ちが良かった。

復興號の車窓から、ひまわりのある風景。
寝ぼけ眼だったので駅名がわからない。



林内車站月台と平快。

月台からの林内車站
そこから員林まで外の風景を楽しみ、一旦下車し9:57発の平快に乗り換え、林内へ向かう。車内はどこかで学生の大会があるのか、学校名の記入されたワッペンらしきものをつけた学生達でいっぱいだった。皆膝の上に弁当の包みを大事そうに抱えている。眠っている学生も多いが、私の隣には気になるのか弁当のふたを何度もめくって中身をのぞいている学生がいた。お腹がすいたのだろうか。退屈なのだろうか。
窓の外には先日の大雨で被害を受けたらしい畑や田んぼが見える。折れた木々もあちらこちらに手つかずで残っていた。明るい日差しの下に痛々しい風景が広がっていた。しかし所々青い田んぼもあり、そこには白い鳥がぽつりぽつりと佇んでいた。
車内放送がないので、駅名を確認しながら林内車站まで乗る。一気に二水車站まで復興號で出なくてよかった。30分ほどだが、なかなか風情のある平快列車の旅行であった。



さて林内の駅を出て、見当をつけ突き当りを左に曲がるが想像していたものと何だか違う。これは聞いたほうがいいとバイクに乗って走り出そうとしていたお姉さんに林内公園の場所を尋ねたら、やはり反対方向に歩いていたことが判明。右方向へまっすぐ行きセブンイレブンのところを左に折れたらすぐだという。とにかくまっすぐ行けばいいからと最後に声を掛けてくれた。お礼をいい、来た道を戻り、さらに進む。
右手に地図にも載っている林内排骨大王があった。帰りに寄ろうと思ったが、どうも今日は定休日のようだ。残念。そうして再び歩き出すがなかなかセブンイレブンがない。不安になり、再び交差点の角にある小吃店で林内公園の場所を聞くが、やはり同じ説明だった。再び歩き出す。日差しがとても強くて、やけどのような痛みを覚える。
日陰を選びつつしばらくゆくとセブンイレブンが。そして立派な元鳥居が目の前に現れた。迫力あるその姿は、かつての栄光を物語っているようだった。階段を登ったところに再び元鳥居があった。石灯籠も立派で、いくつもあった。拝殿への階段脇には朽ち掛けた石灯籠と何かの記念碑があった。

林内神社 一の鳥居。

林内神社 二の鳥居。

林内神社 石灯籠と参道。

林内神社 記念碑と石灯籠残骸。



そうして登りきったところが拝殿跡に建てられた濟公堂となり、そして入口前には林内神社の狛犬が据えられていた。狛犬はとてもきれいで、第二の狛生が比較的おだやかで幸せそうに見えた。強い日差しをさえぎられたところで、爽やかな風を受けながら狛犬の写真を撮っていると、すがすがしい気持ちになった。以前から狛犬が残っていることを知りながら、なかなか林内へ会いに来ることができなかったが、今日やっと訪れることができて本当によかった。
濟公堂の前より、狛犬に手を振る。
気持ちいい所でよかったね。

一通り狛犬の写真を撮り、最後に狛犬たちと記念撮影。友達は阿の口に手を突っ込んで両脇をひっぱる真似をしていた。狛犬もまさかここでそういちびられるとは思いもしなかったであろう。口中の玉をころころ言わせて明るく笑ってくれたらいいなあ。
濟公堂から見える風景は素晴らしく、青空の下、遠くまで街並みを見渡すことができ、開放感あふれている。友達はここへ登って来た時にそれを私に告げたそうだが、狛犬に気をとられ全く知らなかった。狛犬をさんざん見倒してようやく景色を見る余裕が生まれたのだった。



ほっこり幸せな気分のまま、タクシーを拾い竹山公園へ立ち寄ってから二水車站で集集線に乗ろうとしたが肝心のタクシーがまったく見当たらない。道路にも走っていない。駅前まで汗をたらたら流しながら戻るが一台もない。近くの店にタクシーを手配する旨書いてあったが、その下でやる気のなさそうなおばさんがだらっと座り眠っていた。ここで頼むのか!と覚悟を決めたが、そのとき友達が「警察あるからあそこで頼んでみたら?」と提案してきた。思いもつかないことだったが「だめもとでいこうよ」と言われ、警察の扉をたたいた。
「タクシーに乗りたいが、どこで乗れるのか?」「前の店で手配してくれるがどこへ行くのか」「二水車站方面へ」「なら列車でいけばいい」「12時7分発の集集線に乗りたい、林内から列車に乗るんじゃ間に合わない」「ところでどこから来たのか」「台北だ、日本からの観光客だ」「パスポートを持っているか」「ホテルにある(なぜいるのだろう?と素朴な疑問)」「今持ってないのか!」などのやり取りの結果、親切な警官は私たちの代わりにタクシー会社へ電話してくれることになった。しかし、どうもお昼で出払っているようだった。何度も電話を掛けて頭を抱えた挙句、彼は私たちに向かって「12時になったら仕事が終わるから、二水の次の駅(源泉)が帰り道なので送ってあげるから中で座って待っていなさい」そして笑顔で「タダだから大丈夫」と言ってくれたのだ。大変驚いたが、困っていた私たちには有り難いお言葉以外の何者でもない。甘えさせていただくことにし、クーラーのよく効いた涼しい署内に入れてもらった。中では子供たちが必死でテレビの怪奇特集番組にかじりついていた。
まもなく同僚が二人戻ってきて、彼が私たちのことを説明したところ、同僚の一人が子供たちが見ていたテレビ番組を「日本の番組にかえてあげなさい」と「どっちの料理ショー」にしてくれた。そして12時になり、さあ行こうと立ち上がった時、子供たちが小さなミネラルウォーターとストローを持ってきてくれた。よく冷えた水は甘く喉をうるおしてくれた。前回もおまわりさんにお世話になったが、旅をしていて助けていただけることが何と有り難く、心強いか。林内派出所の皆さん、本当にありがとうございました。

ちいさな無人駅、源泉車站。

集集線路線図
私たちを送ってくれる警官は署から少し出たところでビンロウを購入。「ビンロウを知ってるかい?」「噛んだ事はないけれど知っている」「これは歯が赤くなるから噛まないほうがいい」と歯をにっとした。友達は歯槽膿漏とかん違いしていたようだ。車内では色々話し掛けてくれたのでとても楽しかった。
土ぼこりをたてながら田舎の住宅街を走り抜け、あっという間に源泉車站へ到着した。彼も一緒に車を降りてくれて、丁度駅で列車を待っていた小学生3人兄弟に「この人たちは日本人で、これから終点まで行ってまた集集車站で降りるそうだから、車掌さんにちゃんと説明してあげてくれ」と頼んでくれていた。何と言う親切な人なんだろう。感激して一緒に写真を撮ってもらった。彼はしきりにてれていた。



しばらく一緒に列車を待っていてくれたが、どうやら遅れているようでなかなか来ない。「ご飯を食べに家に帰るけど、大丈夫か」と聞いてくれたので、何度もお礼を言って別れる。車内からも手を振ってくれる、とてもいい人だった。走り去る車に向かって何度も大きく手を振る私達だった。
列車が走る音がするのだが、姿がなかなか見えない。ホームで写真を撮っていると子供たちが興味しんしんの様子でこちらを見ていた。そしてまもなく列車がやってきたが、子供たちが「こっちにおいで、こっちから乗るんだよ!」と手招きする。先頭車両まで走って乗り込み、彼らについてさらに一番前の席へ。何と運転席の横が座席になっているのだ。素晴らしい特等席だ。残念ながら先客があったので、後ろへ戻った。いい席を教えてくれてありがとう。
源泉車站月台二水方面より

ホーム向かいにあった、列車のタイル画。
素朴であったかい。



列車が出発してすぐ、左手に見えた家の庭に男性が立っていて手をこちらに振っている。見ると、子供たちが大きく振りかえしている。実は彼らのお父さんだったのだ。そして子供たちは今から集集へ泳ぎに行くそうだ。とても素朴でかわいらしい子供たちだった。日本の子供たちより、ずっと上手に幸せの種を植えている感じだ。集集車站で下車していったのだが、その直前「もしなにかあったときに連絡できるよう、電話番号教えようか?なんか書くものある?」と声を掛けてくれたのだ。なんとやさしい子供たちだろう。携帯の番号を書いてもらい、再び何度もお礼を言って別れた。
そうして、たまたま特等席の人が集集で下車してくれたので、ここからパノラマアワーが始まった。乗り鉄でよかったとつくづく思った。両脇に流れてゆく車窓の風景がこれほど愛しいとは思わなかった。青く高く晴れ渡った空、さわさわ揺れるたっぷり茂った木々、そしてまっすぐ伸びる線路。正に夢心地だ。こんな気持ちの良い景色を独り占めできるなんて!終点が来ないで欲しいと思ってしまうほどだった。]


集集線先頭車両からの風景。


特等席からの眺め。うっとりするような景色の連続で、魂がとろけてしまう。

しかし終点はやってきた。友達が「この席とっておくから、降りて見ておいで」とやさしいことを言ってくれた。お言葉に甘えて、外へ出る。「中台湾」のガイドブックには「最美麗的小站」とあったが、何もないところだった。この駅周辺にある明湖水庫や日本家屋などがいいのかもしれない。それでも皆記念写真を撮っていた。私も車掌さんにシャッターを押してもらおうと近づいたが「ここで降りるんだね、私はまたこの列車に乗っていくけど気をつけてね!」と笑顔でまくしたてられ早足で去られてしまった。まあいいかと駅名と列車を写真に収めた
集集線終点記念。




集集駅月台にて。

そして席へ戻ると、友達がなにやらご老人に日本語で話し掛けられている。聞くと、昔集集線の運転手だったおじいさんで、お父さんが日本人だったが戦後日本へ帰国してしまったそうだ。日本にも何度か来た事があるようで、しきりに話をしようと後の席へ呼ぶ。どうしようかと悩んでいたら友達が「この子は列車が好きでここに座りたくて乗ったから座らせてあげて」とおじいさんを伴い後の席へ行ってしまった。
友達にも世話になりっぱなしだ。私が再び車窓の風景を堪能している間、おじいさんと友達は大きな声で話していた。おじいさんは私たちと集集で遊びたかったようで、何度も一緒にまわろう、いいか?と話し掛けていた。しかし私たちは次なる目的地、南投へ移動しなくてはならない。集集車站で下車して「私たちはこれから南投へ行かないといけないから、集集はまわれないの、ごめんね」と別れた。おじいさんはとても残念そうだった。いつか観光で行くことがあれば、ゆっくり一緒にまわってもらおう。



集集車站横の鉄路文物博覧館は月曜日休館とガイドブックにあったが、夏休みのせいか開いていた。中をぐるっと見たところで、外に鉄道グッズの店発見!吸い込まれるように中へ入る。そして我が心のアイドル、勝利號絵葉書発見!そしてその横にはさとうきび列車、塩場の列車、炭坑の列車など私の愛する列車の絵葉書ばかりが並んでいた。これは買わずにはいられまい。机の前に飾ろう。一緒に集集駅キーホルダーも購入したが、友達がちゃっかりディスカウント交渉してくれ、まけてもらった。店の外にはスタンプコーナーがあり、いろんなスタンプが並んでいた。集集線にちなんだものを片っ端から押しまくった。[2日目(7/19)後半に続く

採塩採煤−小火車。
甜蜜動人−五分仔。

集集線キーホルダー。
集集線スタンプ集。