夜明け前 沼平駅 モーニングコール10分前にはぱっちり目が覚めていたので準備がゆっくりできた。外へ出ると冷たい空気にきらめく満天の星空。ふと道路を見ると、野良犬がひょこひょこ歩いている。そしてこちらへやって来て、頭をすりすりしていた。駅までのシャトルバスは既に満員だったので、次の便を待って沼平駅へ。そこで切符を購入する列に加わる。並んでいる途中、紙製のサングラスを買うが結局使わなかった(ちなみに1つ10元)。ホームに入るとすでに人であふれている。台湾人の若者に囲まれ、月がこうこうと輝くのを眺めつつ並んでいた。すると、私たちの一団におじさんが近づいてきて、ここは列車がとまらないという。どういう意味だろうといぶかしく思いながらぞろぞろと両脇に分かれた。まもなく列車がやってきて、理由が判明。並んでいたあたりは丁度ディーゼル車両の部分だった。列車のドアを開け、学生の一団がなだれ込んだ。私も一緒に滑り込んで席をゲットした。20分ほど山道を走るのだから、座った方が楽だ。隣では女の子達が、お互いの膝上に座りあいっこしてはしゃいでいた。 



日の出終点である祝山駅からさらに展望台まで階段と坂道が続く。息が切れるのだが、台湾の人たちは平気で上がっていく。あれには驚いた。観日平の展望台では日の出音楽祭が開催中ということで、暗いうちから日の出までクラシック音楽を演奏していた。TV局の取材も来ていた。その周りで音楽を聴いている人が多かったおかげで、日の出の一等席を陣取ることができた。日の出時刻に近い7時になると、稜線がくっきり見えてきていよいよか!と待ちかまえていた。だが肝心な部分を雲が覆い、結局太陽は見えずあっという間に空がすっかり明るくなってしまった。それでも、割と満足したので、記念撮影をすませ下山した。



7時半発の下り列車は比較的空いていた。窓の外を見ると、遊歩道を歩いて戻る人が結構多い。確か、下りは歩くのもおすすめだとガイドブックに書いてあった。朝日を浴びながらの森林浴もいいもんだと思うが、とりあえずおなかが空いていた私たちであった。阿里山駅では昨日と同じ店で朝食。小籠湯包(ぷりぷりしている)と排骨麺(鶏肉で太麺)目玉焼きという内容。やはりとても安くてオイシイ。



チケットを買う&獅子店を出たあと、嘉義ゆきバスのチケットを買いに行った。早めに下山して嘉義公園に行きたいからだ(ちなみに列車のチケットは往復)。12時発のバスにした。
バスのチケットは、旅客服務中心の向かいにある建物の1階(コンビニ)で購入する。その入り口前あたりからバスが出るので、チケットを買うついでに確認しておくとさらに安心・・・

そこから一旦ホテルへ戻りチェックアウトを済まし、荷物を預けて森林散策へ向かった。まずは受鎮宮へ。前もっていただいていた情報によると、近くに橋があって、その両脇に狛犬が守っているとのことだが、どうしても橋が見つからない。右往左往したのだが結局、沼のほとり、
バードウォッチング用の遊歩道入り口で獅子と出会ったのみだった。でも、何ともわびしい所に据えられて気の毒な状態だった。(さて、今もう一度地図をよく見ると、香林小学校の奥に吊り橋があるのだ。もしかするとその両脇にいたのかもしれない。そちら側にはいかなかったのだ。かなり痛んでいるとの事だったので、ぜひぜひ会いに行ってやりたかったのに!残念無念!)



受鎮宮の獅子受鎮宮向かいの小学校では小さな校庭で子供達が走り回っていた。ほのぼのした光景だ。そして再び散策路に戻る。森林浴自体は気持ちいいのだが、いかんせん息が切れる。高低差がかなりあるのだ。木蘭園が見えてきた。少しだけ花をつけている。この木蘭園は観光ポイントなのだろうか、前からやってきたカップルに「木蘭園、どこか知りませんか?」と尋ねられた。姉潭までの道のりには、立派な木の幹がごろごろしているのでダンナさんは大喜びだ。さて、その姉潭なのだが、雨が降らないせいで「どんどろの沼」状態。ぜんぜん美しくない。がっかりだ。うっかり早朝に必死になって散策しなくて良かった(早朝、水面が美しいと書いてあった)。妹もまたしかり。そこから沼平駅まではすぐだった。
木


しばらくの間、駅脇の柵に腰掛けて綺麗な景色をのんびり二人で眺めていた。オゾンをたっぷり吸い込んでからホテルへ戻ったが、まだ時間がある。せっかくなので三代木、高山博物館(休館中)、慈雲寺へと向かった。三代木は何ともいえない迫力がある。その向こうにある階段を登ると中学校が。森の中の学校だ。さらに奥へ進むと博物館、そして日本の鐘がぶら下がっている鐘楼を通り過ぎ、お寺の本堂へ到着。神社建築様式だ。ここではおみくじを引いた。とはいっても、自動おみくじ機で「心の中で南無阿弥陀仏を唱えながら10元入れなさい」との説明書きがある。その通りに10元投入すると、じーっという音がしてそれが止んだらぽとりと黄色い厚紙が受け口に。私のおみくじにはろくでもないことが書いてある。なのでそのままおみくじ機の横にお返ししてきた。はじめ、おみくじ機の横に何が積んであるのかと思っていたが、どうやら私と同じような人が悪いおみくじを積んで帰ったらしい。最後に再び受鎮宮近くの獅子を見に寄り、ホテルへ戻った。



預けた荷物を受け取り、11時ちょうど発のシャトルバスに乗り込んだ。このホテルにはコテージもあり、そちらもまわって行くのだが、裕福そうな家族が楽しそうにはしゃいでいた。そして到着した阿里山駅で昼食をとる。子供を背負った若いお母さんが手招きするお店へ入った。入り口に竹筒飯が蒸されていたからだ。二階へ上がり、窓際へ。ビンロウをかんでいる兄ちゃんが注文を取りに来る(この兄ちゃん、結構働き者だった)。鹿肉が食べたいので「鉄板鹿肉」と卵とエビの炒め物、そして竹筒飯の大きいやつを2本注文。竹筒飯がまずでてきた。竹の薄皮がごはんを覆っていて、食べやすい。中の具もお肉やら筍やら木の実やら色々はいっていておいしい。先に全部食べてしまった。しばらくしておかずがやってきた。鹿肉は、雪菜と一緒にバターで炒めたもの。じゅうじゅういいながら出てきた。このバターはにおいが独特だ。味も濃い。でも食べる内に慣れてきておいしく感じた。エビ卵もたっぷりめで満足。
竹筒飯


食堂を出て、バス停横のコンビニで水を購入。バスはもう出発を待っていた。隣席のお姉さんが親切で、荷物を自分の横へ置かせてくれた。ほんわかとした風景の中、バスはどんどん山を下っていく。途中にはお茶屋さんがたくさんあったが、こんなところ車じゃないと来ることができないかもね。阿里山のお茶は有名だけど、土産屋では結構いいお値段でした。バスの車内はあまりきれいではなく、窓もすすけている。そのせいで外が余りよく見えないため、ぐっすり寝込んでしまう。気がついたらもう嘉義市内だった。いきなり暑い!上着をあわてて脱いで、ダンナさんに助けてもらいながらバックパックの横にくくりつけた。とてもじゃないけど着ていられない。
 嘉義駅到着後、バスターミナルへ向かい、市内路線のチケットを購入して巡回路線バスに乗ろうとしたら、ちょうどバスが発車していったところだった。しかも、乗らないと行けない「2路」だった。仕方ないのでターミナルの古ぼけた待合い場所にあるベンチに腰掛けて、いい風が吹き抜ける中ぼんやりたたずんでいた。でも、時刻表を見てあきらめた。40分後にしか来ないのだ。嘉義公園までは2キロ弱、それなら歩こう。嘉義駅で荷物を預けようとしたら、受付のとても親切なおじさんが一生懸命説明してくれ、無事に一時預かりの手続きができた。すっかり身軽になって元気がわいてきた。中山路は道幅も広く、また公園まで一直線なので歩きやすい。まずコンビニに立ち寄り、飲み物を購入。普通のコーヒーを買ったのに、中身は「コーヒー牛乳」。噴水を通り過ぎ、しばらくすると警察の立派な建物が。そして、道のまっすぐ先に茂る木々が現れた。見るからに公園っぽい。ずんずん歩いて行くと、程なく公園に到着。



 敷地内は結構広い。「嘉義人倶楽部」HPで入手しておいた公園内地図を見ながら狛犬に向かって行く。球場横の忠烈祠に向かう道の入り口両脇に狛犬発見。木陰になっている。大きいが、彫りがかなり荒い。日本の狛犬としては顔立ちがエキゾチックだ。それでもけなげに頑張っている。今回の旅行で、初めてあった狛犬だ。しっかり挨拶をする。見上げて話しかけた。さらに奥へ進むと、神社の元社務所が嘉義市史蹟資料館となっていた。その近く、階段を登ったところに狛犬が。遠目でわかる。思わず駆け寄ってしまった。子供が「石獅子〜」といいながらうれしそうによじ登っていた。すっかり新しい生活になじんでいる。もしかしたら割とかわいらしい狛犬なのでこんな素敵な場所に置いてもらえたのかもしれない。そう思うと、木の陰にひっそりとたたずむもう一対が気の毒になった。
 二対もの狛犬と出会えて、すっかりごきげんになり、そのまま射日塔に登る。入り口で入場料20元を払う。このチケットは喫茶室で金券代わりに使えるのだ(ちょうど20元分)。エレベーターで10階へ上がる。嘉義の街を一望できる展望喫茶室だ。ちょうど明るい方角の窓際に座ろうとしたら、ダンナさんがガラスになっている床を指さしている。のぞきこんだら、なんと吹き抜けになっていたのだ。びっくりして大声をあげてしまったら、近くでくつろいでいたマダム一団に笑われた。どうも、彼女たちもさんざんわめいていたらしい。恐ろしくて、結局ガラスの上に乗ることができなかった。私たちの後から、大学生くらいの男の子3人が入ってきた。彼らも同じく、ガラスの吹き抜けをのぞき込んでしばらくの間大騒ぎしていた。

射日塔
 私たちの席には「暑中お見舞い申し上げます」と日本語で書かれた押し花のしおりがガラステーブルにはさんだ状態で飾られていた。スタッフは女の人がひとりだけだ。小さく丸い、金魚鉢みたいなグラスに湯冷ましを入れて持ってきた(後に、この白湯が「水道水ではない、綺麗な水」というおもてなし水になることを教えていただいた)。ホットコーヒーと皇帝茶を注文する。外は午後のまったりした光。暑いので晴れているが霞がかかったようになっている。他に高い建物がないせいで、町並みがよく見渡せる。飲み物がなかなか出てこないので、外を見ながらぼんやりしたり、列車の時間を調べたりしていた。

ようやく来たダンナさん注文の「皇帝茶」だが、甘くてしかも薬草のような味だ。つまり、まずいのだ。名前はいいんだけど。コーヒーはとても渋い。どういう入れ方なんだろう。お茶が出てくるのが遅かったので、列車を17時44分発に変更。



汽車塔を降りて外へ出たら、夕日がまぶしい。目の前の広場では、楽しそうに体操をしている人たちが。台湾の人々は、集って踊ったり体操するのが好きなのだろうか。何ともいえない、ほほえましい光景だ。帰る道々、狛犬達にさよならを告げる。せっかくなので、阿里山登山鉄道の初代機関車にも会って行く。すぐ横にある砂場の壁にドラえもんが描かれていた。ドラやきは台湾にないのか、甘食を二つ重ねたような形に描かれていた。



駅へ向かう道は、会社帰りや学校帰りの人でにぎわっていた。大阪の10月初旬くらいの気候でとてもさわやかだ。夕焼けに向かって歩いていると、すっかり気持ちが晴れやかになった。店をあちこちのぞいたり、家の上に立つ家を眺めて笑ったり(バイク屋のちいさなビルの上に、住宅が建っていた)あっという間に駅へ到着。まず切符を買いに行ったが、すんなり購入できた。そのあとコンビニでビール、新聞、鼻メンソールを購入し、再び親切なおじさんの所へ行って荷物をもらう。まもなく列車がやってきた。新しい車両でしごく快適。もしかして、ちょっとクーラー入っている?新幹線と同様、電光掲示板で駅を知らせてくれる。1時間ほどの旅だった。
 台中では、台中会の世話役をされている「喜早天海」さんに「無為草堂」と「台中のバナナ」を案内していただくことになっていた。しかしホテルのチェックインをしないとまずいと考え(取り消されると聞いていたので)、駅のどまん前にあるホテルへ。チェックインを済ませ、荷物をおろし、外に出てきれいなタクシーに飛び乗る。「友達が待っているので、急いでくれ」と頼むと、オッケーとばかりにとばしまくる。クラクションならしまくって車を蹴散らして行く。おそろしかった。でもおかげでかなり早く到着。風雅な構えの店に近づき、ここであってるか?と尋ねられる。みると、「無為草堂」という文字が。お釣りをチップでサービスして降りる。
ピリ辛鍋 店の入口で天海さんとご対面!しかしだいぶ待たせてしまった。申し訳ない!店内では食事をとった。セットのメニューがあったので、皆別々のものを頼む。天海さんがチキンカツ、ダンナさんがカモのロースト、私が鶏肉のピリ辛煮。セットに付いている五穀飯と野菜はおかわり自由だ。みんなおかわりをした。お茶は面倒くさいのか、でかい湯飲みで出てきた。鯉の餌もくれた(池に鯉がいるのだ)。食事をしながら、台中会の忘年会の写真を見せていただいた。年末の28日に「柳岸風情」でやったものだ。ちゃんとはっぴを着て、東京音頭を踊ってるおばあちゃん達がとてもかわいらしかった。
 食事がすんで、いよいよ店内撮影会へ。月曜日でお客さんが少なかったのがラッキー。天海さんにいっぱい撮っていただく。ここはテーブル席のほかは、ひろい座敷もあるが、ほとんどが座敷の個室だ。回廊式の建物の周りは個室で囲まれていて、とても良い雰囲気だ。ゆっくりと何時間もココでお茶を飲んでおしゃべりするのが台中の人は大好きなんだそうだ。いいお店があってうらやましい。日本の喫茶店とはえらい違いだ。鯉の餌をやるとびしゃびしゃ集まってきた。お店の人と写真を撮ったりするうち、天海さんのお友達である日本語の先生がやってきた。そして、先生の車にのせていただき「台中のバナナ」へ。先生によると台湾では今火鍋が大流行ということで、なるほど町中には自助火鍋の店がたくさんあった。ただ店の栄枯盛衰はかなり激しいらしい。




15分ほどで「台中のバナナ」に到着。ここは楽しい「アミューズメント系レストラン」だ!1階のフロア全体に日本統治時代の町並みが再現されている。そして、商店一軒を一区切りとして、店の中に相当する部分にテーブルが置いてある。2階部分は小部屋がいくつか並んでいる。部屋の中にいろんな古い小物が並べてある。ここでは食事ができるし、もちろんお茶だけでも大丈夫。特に1階の駄菓子屋さんが秀逸で、このすぐ横に席を取り写真を撮りまくった。注文したものが来るまで待ってましたとばかりに、店内を意気揚々と見てまわる。映画館の入り口奥に、2階へ上がる階段がある。壁のあちらこちらにかけてある看板やチラシ、掲示板の内容一つ一つを丹念に読みたかった。台湾の農産物一覧や、気象情報、そんなものまで本物が飾ってあった。さて、頼んだタピオカミルクティーが出てきたので飲む。あたたかく、スプーンがついていてQQ餅をすくって食べられる。思う存分味わったのは、今回が初めてだ。とてもおいしかった。疲れによくきく甘さだった。もう少し、写真を撮りたかったが他にもお客さんがいるので遠慮した。想像していたより小さな店だったが、内容はずいぶんと濃く、そして不思議な懐かしさにあふれていた。来ることができてホントによかった!
台中のバナナ



帰りぎわ、店の前で記念撮影をして、先生の車でホテルまで送っていただいた。天海さんにお礼を告げ、先生に明日のお願いをしてお別れする。ホテル前にコンビニがあるので、そこでビールとおにぎりを買う。袋がもらえないからちとつらかった。ホテルに戻ると、もう11時をまわっていた。お風呂に入って、ベッドにひっくり返ったら疲れがどっときた。外は騒がしい。カラオケがあるのか、歌も聞こえてくる。しかも、ホテルの横には長距離バスの発着口があるのでひっきりなしにバスが出入りしている。部屋が最上階なのでよく響くのだ。うとうとしては目が覚めてを繰り返していた・・・